2021/01/16
以前は低血圧だったのに最近高くなってきた!と戸惑っている方も多いのではないでしょうか?40代、50代になると増えてくる高血圧。実は更年期は血圧が不安定になりやすいのです。予備軍も含めると50代の2人に1人が高血圧と言われています。
この記事では、
・高血圧とは
・高血圧の原因
・高血圧の対処法
についてご説明します。
高血圧についての理解が深まり、お悩みや不安が少しでもなくなりますように(*^^*)
目次
高血圧とは
高血圧とは、安静状態での血圧が慢性的に正常値よりも高い状態をいいます。高血圧になると血管に常に負担がかかるため、血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなって固くなったりして、動脈硬化を起こしやすくなります。
最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上のとき、あるいは両方が140/90mmHg以上であることを高血圧といいます(参考:日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン2019)
(これは診察室で測った値の場合です。家庭で測る血圧よりも診察室で測る血圧の方が、緊張により高くなることが多いため、家庭で測った血圧値の場合は135/85mmHg以上を高血圧とみなします。)
平成30年国民健康・栄養調査によると、高血圧の女性は40代では9.5%、50代になると33.8%と急激に増加します。更年期を境にして高血圧になる人はとても多いのです。
ストレスなどちょっとしたことで血圧がぐんと上がったり、また元に戻ったりを繰り返します。最近の研究ではホットフラッシュとの関係も明らかになっています。ホットフラッシュのある人はそうでない人より血圧が高い傾向にあり、特に喫煙者が顕著だと言われています。
更年期が過ぎたら血圧の変動が落ち着く人もいますが、そのまま慢性的になってしまう人も。慢性的な高血圧に移行すると、さらに動脈硬化が進みます。そして、脳卒中や心筋梗塞、慢性腎臓病、認知症などの病気に繋がってしまいます。
血圧はよほど高くならないと頭痛などの症状は表れず、基本的に無症状です。測って初めて高いことに気づく人がほとんどなので、「サイレントキラー」と言われています。ストレス以外にも塩分のとりすぎや肥満、交感神経の緊張、運動不足など生活習慣による要因なども高血圧を招くリスクになるのでご注意を。
血圧変動の原因を理解し改善することで、いつまでも元気でいられますように\(^o^)/
高血圧の原因
①ストレス
ストレスとは大別すると2種類あります。
○肉体的ストレス…
寒さ・暑さ・湿度などの気候条件、過労、スポーツのしすぎや緊張、睡眠不足によるもの。
○心理的ストレス…
人間関係や仕事・学業などの悩み、近親者の死、自分の病気、離別や別居、怒りや興奮などによるもの。
ストレス(とくに心理的ストレス)を受けると、脳から副腎ホルモンが分泌されます。その刺激を受け、副腎からアドレナリン、神経末端からはノルアドレナリンが分泌されます。アドレナリンは興奮したときなどに多く分泌される物質で、心拍数を高めます。また、ノルアドレナリンは交感神経を刺激し、血管を収縮させます。
こうした一連の作用は、ストレスに対抗するための防御反応なのですが、結果として血圧を上昇させることに繋がります。
②運動不足
運動不足が続いてしまうと、血行不良になりがちです。血流が悪くなってしまうと、全身に血液を運ぶことが難しくなるため、身体は血液量を増やして、末端まで届くよう対処しようとします。血流が悪いまま血液量が増えることで、血管に圧がかかり高血圧を起こします。
③肥満
肥満になると脂肪細胞が分泌する物質や交感神経が活発になることによる血管の収縮、過食や塩分のとりすぎによる体液量の増加、およびインスリンの効きが悪くなるために過剰にインスリンが分泌されます。そうなると、腎臓での塩分調整障害が起こり、体液量が増加するなど、血圧を上げる働きが多くなり結果として血圧が上昇します。
④喫煙
ニコチンは心拍数を上昇させるほか、血管を収縮させます。また、血管内で一酸化炭素も増加し、逆に酸素が不足して心臓の負担が増大します。
一本のたばこを吸うことによ り血圧は約10mmHg(人によっては20~30mmHg)上昇し、その状態は喫煙後30分継続するといわれています。
⑤アルコールの飲みすぎ
体内に吸収されたアルコールは、酵素によってアセドアルデヒドに変化します。アセドアルデヒドが血液中に増加し血管を拡げるため、飲酒後の血圧は一時的に低下します。
しかし、飲酒が続くとアセドアルデヒドか酢酸に変化し血中濃度が下がるため血管が収縮し、結果的に血圧は上昇します。
特に1日あたりの飲酒量が日本酒1.3合弱以上の人は飲まない人に比べて、血圧が高い数値であることが報告されています。
➅塩分のとりすぎ
日本高血圧学会では1日あたりの塩分摂取量を6g未満が理想だと定めていますが、WHO(世界保健機関)では、さらに少なく1日の食塩摂取目標を5gと定められています。
塩分をとりすぎると、血中のナトリウム量が増えることになります。ナトリウムが増えれば、血液中のバランスが崩れてしまうため、身体は調整しようと水分を多く取り込んでしまうのです。全体の血液量が増えることで血管に負担をかけ、血圧を上げることにつながります。
⑦カリウム不足
カリウムにはナトリウムを体外へ排泄する作用があるため、塩分の摂りすぎが原因となる高血圧の予防や治療に効果が期待できます。WHOでも、カリウム摂取が健康に及ぼす影響に関する系統的レビューとメタ分析を行っており、成人の高血圧患者の血圧が低下したほか、血中脂質濃度、カテコラミン値、腎臓機能には有害な作用はないことを証明しています。
カリウムは野菜や果物などに多く含まれるため、普段の食生活でそういった食材を食べる機会が少ない人は、高血圧になりやすい傾向があります。
⑧カルシウム不足
カルシウムが不足すると「カルシウムパラドックス」という現象が起きます。血液中のカルシウムが増えるという不思議な現象のことです。カルシウムが摂取量が不足すると体が危機感をおぼえ、副甲状腺ホルモンを分泌させて骨からカルシウムを取り出し、体内に補給します。カルシウム不足が続くと骨からの補給量がどんどん増加し、その結果、血液中のカルシウム濃度が高くなってしまうのです。血液中のカルシウム濃度が高くなると、カルシウムは血管壁に取り込まれ壁を収縮させます。すると血液の流れが悪くなるので、心臓はより強い力で血液を送り出そうとします。その結果血圧が上昇し、高血圧になりやすくなります。
高血圧の対処法
①カロリーと塩分が控えめな食事
暴飲暴食や塩分が多い食事は、血液の質を低下させ、血液量が増える原因となり、結果的に高血圧を招きます。塩分に含まれるナトリウムは、血管内の水分を増やす作用があり、過剰なナトリウムは血圧を高くします。カリウムや食物繊維はナトリウムの排出を促し、血圧上昇を抑える働きがあります。
これらが多く含まれる野菜・果物・きのこ類・海藻類・芋類も積極的に摂るようにしましょう。
高血圧の人の減塩目標量は1日6g未満ですが、食品の例を出すときつねうどん4.1g、豚骨ラーメン5.5g、ピザ3.4gなどなど高め。梅干しおにぎり1g、唐揚げ弁当1.4g、アジの開き1.2g、食パン1枚は0.8gと控えめになっています。
味の濃いもの、麺類、汁物、加工食品は塩分が多くなりがちなので注意しましょう。
②適度な運動
適度な運動は血流をアップさせてくれるため、高血圧を改善してくれます。血流が良くなると血管内皮細胞が刺激され、一酸化炭素が産生されるようになります。この一酸化炭素は血管を柔軟にし、拡張させる作用があるため、血管を下げてくれるというわけです。
ただし、すでに高血圧と診断されている場合には負荷の強いハードな運動は避け、ウォーキングやヨガ、軽い水泳など無理なく全身を動かせるものがおすすめです。
③良質な睡眠
血圧を安定させるためには体が安静にできる時間が必要であり、そのためには質の高い睡眠をとることが欠かせません。早寝早起きを心がけ、リラックスできる時間を作りながら、6時間以上の良質な睡眠を心がけましょう。できるだけ就寝2〜3時間前には入浴や運動、食事など、体温の上がる行動を済ませ、副交感神経を優位にしておくことで熟睡しやすくなります。また、深夜までお酒を飲んだり、寝る直前までスマホやパソコンを見たりするのも質の良い睡眠の妨げになるので、なるべく控えましょう。
最後に
更年期高血圧で気をつけることは、食事・運動・睡眠、そしてストレスコントロールです。
減塩を意識し、少し息が上がる程度の運動を毎日30分以上続けると良いでしょう。6時間以上の良質な睡眠をとり、日頃のストレス解消を意識してみてください。
ぜひ生活習慣を見直して、健康な体を維持してくださいね。