2021/07/18
目次
腰部脊柱管狭窄症とは?
最近では、認知度の高い病名となった腰部脊柱管狭窄症ですが、どんな病気なのでしょう。
簡単に言うと、背骨や靭帯で、背骨の中を通っている脊柱管(神経の束)を圧迫して、押し狭めている状態の病気です。患者数は推定65歳以上の10人に1人。2020年時点で65歳以上の高齢者は3617万人ですので、推定360万人。さらに、40代~64歳までの患者数も足すと、まだ、無症状の人を含め、推定500万人以上いるのではないかと言われています。
まさに、国民病に変わってきているのです。
下の写真のように脊柱管の狭窄具合をレントゲン写真(左)で予想はできますが、正確に診断するのにはMRI(右)を撮る必要があります。
レントゲン写真でわかるように、いびつな形になり脊椎の変形が見られます。また、背骨と背骨の間が狭くなっているので、MRI画像では椎間板が押しつぶられ、はみ出ているのも確認できます。
その他にも、脊椎の前後には、黄色靭帯や後縦靭帯が存在しているので、それらが肥厚化して、脊柱管を圧迫する場合もあります。
腰部脊柱管狭窄症の種類とその症状
主に3つタイプに別けられます。
・馬尾型
・神経根型
・混合型
馬尾型は、脊柱管の中心部分が圧迫される場合。両側の下肢のしびれ感、痛み、冷感などの異常感覚、排尿障害(膀胱直腸障害)がおきます。
神経根型は、馬尾神経から分岐した後の神経根が圧迫される場合。臀部から下肢にかけての痛みが起きます。多くは片方の側に症状が起きます。
混合型は、馬尾型と神経根型の両方の症状が起きます。
腰部脊柱管狭窄症を疑うべき主な症状とは?
1,間欠性跛行(かんけつせいはこう)
しばらく歩くと足に痛みやしびれを生じ、少し休むとまた歩けるようになる症状のことをいいます。
バス停まで座って休みながらなら歩くことができるとか、押し車を使ってなら歩くことができるなど
2,下肢痛
足への痛みです。多くは、お尻から太ももの横、もも裏、足のすねに出ます。
圧迫を受けている神経の部分で、様々な箇所にしびれや痛みが出ます。
3,もも裏の突っ張り感
あまり他のサイトでは書かれていないのですが、しびれよりも重要視するべきなのが、ツッパリ感です。
最初は、筋肉痛のような痛みですが、やがって、ビーンともも裏に突き抜ける突っ張り感を感じる人が、馬尾型ではほとんどです。
4,もも前のつねられるような一瞬の痛み
朝、起き上がるときや、仰向けから腹筋を使って状態を起こすときに、もも前の筋肉がつねられるような痛みを訴える人も、脊柱管狭窄症の1例です。
馬尾神経よりも上の方で脊柱管が圧迫を受けている場合に起きます。変形性腰椎症と診断される場合も多いです。
5,腰痛はないのに、足にしびれや痛み
脊柱管狭窄症に多く見られる特徴です。腰は痛くないのに足にしびれや痛みを感じるときは、まず、レントゲンとMRIの画像診断を受けることをお勧めします。
すぐに、手術が必要な場合とは?
1,膀胱直腸障害
症状が進行していくと、排尿障害や排便障害の膀胱直腸障害を生じます。 症状として、頻尿、夜間尿から残尿感、尿失禁、便失禁へと進行していきます。
2,陰茎勃起
脈圧でテストする場合もあります
足関節上腕血圧比(Ankle brachial pressure index:ABI)と言い、ABIが0.9未満であれば、なんらかの虚血があると考えられます。間欠性跛行を来す状態であれば、一般的にはABIは0.4~0.7程度であるとされています。
整骨院で行う検査は?
正確には、画像診断を行うのですが、その前に腰部脊柱管狭窄症の可能性を見つける検査があります。
1,kemp test
ケンプテストとは、たった姿勢から体を反ってもらい、臀部や下肢に痛みやしびれが出るか出ないかを診る検査です。この検査で陽性だと、狭窄症の可能性が高まります。
2,SLR test
SLRテストは、仰向けで他動的に足を上げて、もも裏が突っ張るかどうかを診ます。ヘルニアの場合、陽性になります。
陰性で、ケンプテスト陽性の場合は、腰部脊柱管狭窄症の可能性が高くなるわけです。
3,腰を上げて、もも裏が突っ張る
テストの名前はないのですが、私の開発したテストもあります。仰向けで両膝を立てた状態から、腰を浮かすように上げてもらうと、もも裏がビーンと突っ張る。この症状が出ると脊柱管狭窄症を疑います。
同じしびれでも、違う病気の可能性が!
足がしびれて、間欠性跛行があるとしても、すべてが腰部脊柱管狭窄症というわけではありません。その他に疑うべき疾患を紹介します。
1,バージャー病(閉塞性血栓性血管炎)
手足の動脈の壁に炎症が生じ、血管が細くなる、あるいは血の塊である血栓ができることで、血管が詰まってしまう病気である。血栓で血管がふさがってしまうと、手足や指先の組織に血液が十分に流れ込まなくなる虚血症状が起き、さまざまな問題を引き起こします。
手足や指先に冷えやしびれが起き、皮膚が青白く、血の気がないような色に変わる(皮膚の蒼白化)。さらに症状が進むと、「間欠性跛行」(かんけつせいはこう)が現れます。ヘビースモーカーに多い疾患です。
2,閉塞性動脈硬化症
足の血管の動脈硬化がすすみ、血管が細くなったり、つまったりして、充分な血流が保てなくなる病気です。 そのため、血液の流れが悪くなり、歩行時に足のしびれ、痛み、冷たさを感じます。 さらに進行すると、安静時にも症状が現れることがあります。
3,サドル麻痺
その名の通り、主に自転車によく乗る人に起こる病気で、サドルに座る頻度が多いことが原因です。自転車のサドルがあたる部分の麻痺症状が起きます。具体的には、足の付け根部分の内側や、陰部・肛門周辺に麻痺が現れます。大きな椎間板ヘルニアや、脊椎の圧迫骨折などでも起きる症状です。
腰部脊柱管狭窄症と診断され、やらないほうが良いこと
ズバリ、後屈制限です。後屈を制限するということは、腰を反らす動作をしないようにするということです。自転車や手押し車を使うのも一つの手です。また、flexion braceというコルセットをして、症状の軽減を待つこともあります。
症状をやわらげる処方薬としては、プロスタグランディが有名です。
このプロスタグランディは、体内で血小板凝集を抑える抗血小板作用や血管拡張作用などをあらわし、血行が悪化している状態での冷感やしびれなどを改善します。
当院では、何をするの?
下記の動画で、当院での治療方法を説明しているので、御覧ください。
要約すると、股関節の固まりが腰椎を動かない状態で固定しているので、施術により腰椎を動きやすい状態を作り出し、脊柱管の逃げ場を作ることで、症状が軽減しています。とにかく、歩いても足が突っ張らない状態までにすることが必要です。
症状が軽減したら、正しい歩き方が超重要!
股関節を固めると、腰椎の変形が進行します。変形が進行すれば、脊柱管の狭窄もひどくなっていくわけですから、股関節を固めないような歩き方が重要になるのです。
逆を言うと、股関節を固めることによって、腸腰筋などの筋肉が固くなり、腰椎が動きを失い、可動域が減少する。可動域が減少した状態(腰の動きが悪い)で生活し続けることは、腰椎を変形させる要因になるので、脊柱管狭窄症になる可能性も高まるわけです。
日頃の動きの中で、股関節の柔軟性を維持することが必要不可欠です。
その最良の手段として、正しい歩き方でウォーキングすることをおススメしています。
当院では、ウォーキングレッスンも行っていますので、是非、一度予約して、自分の歩きを確かめてください。