2020/12/21
目次
健康に良い「サウナ」の入り方
コロナ禍に関わらず、今もサウナブームとなっています。
諸説ありますが、サウナは1964年の東京オリンピックの際にフィンランド選手団が日本でも体調管理が、できるように持ち込んだことがきっかけと言われています。
その効果が評判を呼び、高度経済成長期に多くの働く人たちに広がったそうです。
そして現在、再びサウナブームがまきおこっています。背景には仕事をする環境の変化があげられるようです。 インターネットが普及しここ数年で働き方が目まぐるしく変わりました。 パソコンを常に持ち歩き、スマホには絶えずメールが届き、仕事に際限がありません。テレワークという新しい働き方が取りいられ、働く場所も様変わりしました。
急激な変化に対応 しようと緊張を強いられる毎日です。 そこで、ストレスを解消したい、仕事の効率も上げたい、そんなわがままを叶えてくれるのが、サウナです。
脳は意外と疲れている
実際サウナはどんな効果をもたらすのでしょうか?
サウナが身体の疲労回復効果があることは知られていますが、意外に知られていないのが 脳の疲れにも効くということです。 今日は脳が疲れたなと意識される事はほとんどないでしょう。でも憩いを求めて喫茶店でぼーっとしたりして過ごすことはありませんか? ところが、ぼーっと過ごしているつもりでも、実は脳は休んではいないようです。
体内の 機能をコントロールしたり、ホルモンを分泌したり、何かを思いついたり、心を休ませているつもりでいて、脳は気が付かないうちに多くのタスクを処理しているのです。
このように雑念が働いている脳の領域をDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)と言います。近年の脳科学研究で分かった脳内で働く神経回路で、人間がすぐに活動ができるように待機してる状態をさします。車で言うところのアイドリング状態な訳です。
このDMNがくせ者で必要以上に働きすぎていることが多い様で、多くの情報に取り囲まれた今、何も考えていないつもりでも無意識にごちゃごちゃと考えてしまい、考えるな、煩悩を捨てされと思っても、そう考えるだけ逆効果です。
ではDMNの過活動を抑えるのにはどうしたらいいのでしょうか? 答えはシンプルで、1つのことに「集中すること」です。何かに集中すると脳が余計に疲れ てしまいそうですが、そんな事は無いようです。
脳の働きは2つに分けられます。 1つは前述のDMNでエネルギーの消費が80%。もう1つは仕事や家事など物事に集中した時に働くCEN(セントラル・エグゼクティブ・ ネットワーク)で、エネルギー消費量は5%とごくわずかです。 DMNとCENはどちらか1つしか働かず、片方が活動すれば、もう片方は活動しませ ん。つまりCENを選べばDMNは抑えられ、脳が疲れにくくなるようです。
例えば、洗濯機の渦をずっと見ていたいような衝動に駆られることはありませんか?これ は洗濯機の渦を無心で眺めることでCENが働いているです。ただ、いつでも洗濯機の前にいられるわけではありませんが(笑)。
そこで役に立つのが「サウナ」。サウナ室は極端に熱く、人体にとって過酷な場となるの で余計なことを考えられなくなります。薄暗く、おしゃべりもほとんどしないうえに、汗をかいて刻々と変わっていく体の変化に意識を集中させやすい。つまりDMNを抑えやすい環 境なのです。
そして最も重要なのはスマホを持ち込めないこと。メールやSNSなどこまめな確認は脳 に無駄な情報処理を課すため、脳疲労を促進させてしまいます。サウナ室はデジタルデトックスに最適の場所なのです。
正しいサウナの入り方
サウナ浴の基本
サウナ室→水風呂→休憩という順です。 まずはサウナ室です。ここで汗をかくほど体が温まった、サウナが効いたと思われる方が いらっしゃいます。
しかしそれは間違いだそうです。汗の量は指標になりません。なぜかと言うと汗には体の結露が含まれることがあるからです。コップに冷たい水を入れると汗をかいたように水滴が 付きますよね。それはコップ周辺の冷水に冷やされて、空気中に含まれる水分が液化したものです。これと同じようにサウナ室の気温と体表面温度の差で、皮膚に水滴が付くことがあります。汗を多くかいたからといって体が温まったわけではないのです。
気にするのは汗ではなく、心拍数です。心拍数は手首の脈で測ります。サウナ室の高温で 体に負荷がかかると、心身を興奮させる交感神経が働き、心拍数ひいては脈拍が上がってい きます。そのため、汗ではなく脈拍で体内の変化を把握します。
サウナに入る前に、軽く運動したときの1分間の心拍数を、測っておいてください。その心拍数とともに同じテンポの曲も覚えておきましょう。 サウナ室に入ったらあぐらをかくか体育座りをして両足を上げるのがおすすめです。つま先の末端まで温まります。
いよいよ脈拍を測ります。自分の脈拍に集中しながら、お気に入りの曲を脳内で再生します。心拍数が曲のテンポと、同じ位に上がったら、水風呂へ移動しましょう。
水風呂も、大事なプロセスですので、きちんと行っていただきたいです。
しかし、急激な 温度変化で失神やヒートショックを、起こしやすいので正しく行いましょう。 慣れてない人はいきなり水風呂に入ってはいけません。水、あるいはぬるま湯で汗を流し ながら、全身を低い温度にゆっくり慣らしてください。水風呂が苦手な方は、水シャワーだ けでも良いそうです。 水風呂には、大きく息を吐きながら入りましょう。息を止めると血圧が上がってしまうの で、緊張を、和らげるような深呼吸が望ましいようです。
話題の「ととのう」とは
サウナの新たな効果として最近「ととのう」と言われる状態があります
「ととのう」とは、サウナ浴でえられる特殊な感覚のことです。それはフワフワとした浮遊 感だったり、敏感に研ぎ澄まされる感じだったり人によって様々です。この「ととのう」と いう新しいサウナ用語がサウナブームの鍵となる言葉なのです。 「ととのう」を医学的に言うと、「急激な温度刺激による異常感覚」です。サウナ室→水 風呂→外気浴という基本のサウナ浴に沿って体内に起こる変化を追っていきましょう。 まずサウナ室に、入ると、非常に熱い温度にさらされます。日常にはない高温です。これを感知した人体は生命が危機的状況にあると判断し、生き延びようとします。生命維持システムである自律神経のうち、心身を発奮させる交感神経が働き始めます。 次の水風呂も同様です。人体にとってはとても冷たく、厳しい環境です。しかも高温から 低温という激しい温度差のため、交感神経はアドレナリンを放出して必死に周りの環境に適応しようとするのです。
水風呂のあとに休憩をとったところで、人体は危機を脱します。安堵して自律神経は交感 神経から副交感神経へとすばやく切り替わり、全身が深くリラックスしていくのがわかりま す。忙しい現代人は自律神経が、乱れて交感神経が優位になりがちですが、ここでは確実に 副交感神経が働き人体を穏やかな状態へと導いてくれるのです。
しかしこの休憩のとき、体内はありえない様態となっているのです。自律神経はリラック スしているのにも関わらず、血中には放出されたアドレナリンという興奮物質が残っていて、体内で併存しているからです。くつろぎながら、覚醒度が上がって頭がスッキリし瞑想にも似た状態です。
これが「ととのう」の正体です。「ととのう」はサウナでしか味わえない特権なのです。
外気浴で「ととのう」
サウナ室での目安は「心拍数」でしたが、水風呂は「時間」です
水風呂は1分経ったら出てください。理由は、血液が体内を1周するのが1分ほどだから です。それ以上は体の中心部分が冷えてしまうので熱くなった体表だけを冷まし、体の中心 部分は温かさを保ってください。
水風呂から出たら、最後に休憩を取ります。水風呂後の1〜2分間は「ととのう」状態になりやすいのです。体が冷えないように水気をよく拭き取って、速やかに休みましょう。
休まずにサウナと水風呂だけを往復する人がいますが、体に必要以上の負担をかけるばかり か、「ととのう」効果も得られません。
休む場所は屋外が理想的です。これを外気浴といいます。スペースがなければ、脱衣所の 扇風機の前でもかまいません。 「ととのう」を、堪能したら、さらに5分ほど休み続けましょう。サウナから水風呂へと 目まぐるしく変わる環境に適応した体を休ませてください。忘れずに水分も補給しましょ う。
このようなサウナ室→水風呂→外気浴を3セットも繰り返せば、体の深部までしっかり温まり、脳疲労も十分に回復されます。
サウナに入ってはいけない人
良い事ずくめのサウナですが、、、
飲酒後や体調の悪い人、基礎疾患があり病気のコントロールが、できない人は入るべきではありません。軽い風邪なら汗で熱を下げられるかもと考え るのは危険です。風邪を引いているときは体温の調節機能が狂っていて、温度感覚も鈍っています。
特に注意したいのが水風呂です。サウナ室では血圧の変動はそれほどないようですが、水風呂は血管が急に収縮するため血圧が跳ね上がります。
最初は水風呂より、温度調整のでき る水シャワーのがいいかもしれません。水分をたっぷり摂り、休憩も大切です。途中で異変 を感じたら直ちに中止してください。無理は禁物です。
サウナは正しい知識を持って利用すれば素晴らしい活力を得られます。サウナを通じて多くの人が元気な毎日を送れるといいですね。