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腱鞘炎

目次

『腱鞘炎(けんしょうえん)』という言葉を聞いたことがありますか?

なんとなく言葉は聞いたことがあるけれど詳しくは知らないといった方や、そもそも腱鞘炎という言葉を初めて知ったといった方も、少なくないと思います。

ここでは、腱鞘炎とは何か、腱鞘炎になる原因やチェック方法、さらには治し方や予防法まで徹底解説しています。 『仕事や趣味などで日頃から手をよく使う』

『時々、手首や指に痛みや違和感を感じることがある』 上記に当てはまった方は、ぜひこの記事に目を通してください。 もし腱鞘炎になっていた場合、放置していると大変なことになりますよ。

 

●目次

・腱鞘炎とは?どんな症状がでるの?

・腱鞘炎になる主な原因は??

・今すぐできる!腱鞘炎のチェック方法

・腱鞘炎を改善!主な4つの治し方 ・腱鞘炎を予防するには?

・まとめ

腱鞘炎とは?どんな症状がでるの?

腱鞘炎とは、指を動かす際に重要な役割を果たす組織である腱鞘に炎症が起こり、指や手首に強い痛みや熱感を伴う症状のことをいいます。

私たちの指や手には、筋肉と骨を結び付ける腱(けん)という紐のようなものがあり、それが筋肉と連動して動くことで、指や手首を自由に曲げたり伸ばしたりしています。

腱が動くときに、骨から離れないように押さえる役割をしているのが腱鞘(けんしょう)という組織です。

腱鞘はトンネル状になっていて、指を動かすとその中で腱が動きます。 通常は、腱鞘と腱がこすれ合うことは少なく、痛みを感じることはありません。

しかし、指を早く動かしたり酷使したりしてしまうと、腱が早く動いて負担がかかり、腱鞘とこすれ合う回数が多くなります。 こすれる回数が多くなれば多くなるほど炎症を起こしやすくなり、腱は太く、腱鞘の穴は狭くなってしまいます。

これが悪化すると、余計に腱と腱鞘はこすれ合ってしまい、指や手首を動かすと痛みが生じます。 腱鞘炎とは、このような状態のことをいいます。

腱鞘 また腱鞘炎には2つの種類があり、それぞれ特徴があります。

ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)

ドケルバン病とは、親指と手首(手関節)をつないでいる2本の腱「短母指伸筋腱」「長母指外転筋腱」と、その2本を覆うトンネル状の腱鞘が炎症を起して生じる腱鞘炎です。 親指側の手首が腫れて痛みが生じ、さらに、症状が悪化してしまうと力が入らなくなってしまうことがあります。

 

 

ばね指(弾発指)

ばね指とは、指の曲げ伸ばしをする働きがある「屈筋腱」と、屈筋腱の浮き上がりを押さえるトンネル状の「靭帯性腱鞘」が炎症を起して生じる腱鞘炎です。腱鞘の中で腱がスムーズに動くことができず、指の付け根に痛み、腫れ、熱感が生じます。 指の曲げ伸ばしの際にばねのような引っ掛かりが生じ、症状が悪化してしまうと指が動かなくなってしまうのが特徴です。 では、腱鞘炎になってしまう原因とは何でしょうか。

 

 

 

腱鞘炎になる主な原因は??

 

腱鞘炎になる主な原因として考えられるものを見てみましょう。

長時間のスマホ操作

長時間のスマホ操作 スマホを使うとき、片手の親指ばかり使って操作している方も少なくないと思います。現代人にとって馴染みのある動作ですが、それを長時間続けてしまうと親指が酷使され、腱鞘炎になってしまう可能性が高くなってしまいます。 特に、画面が大きいスマホを使用している場合は注意です。画面が大きいと親指を大きく動かすことになるため、更に負担がかかってしまいます。

長時間のパソコン作業

長時間のパソコン作業 スマホ操作と同じく、長時間のPC作業も指に負担がかかります。中でもタイピングが早い人(指の動く速度が早い人)ほど、腱を激しく動かしていることになるので、腱鞘炎になりやすい傾向にあります。 キーボードを強く叩くことも、必要以上に手や指に負担をかけていることになりますので注意が必要です。

長時間のゲームプレイ

長時間のゲームプレイ 手や指をよく使うゲーマーも、腱鞘炎には注意しましょう。キーボードのタイピング操作や、ボタン連打が必要なゲームは指を駆使してプレイするため、腱鞘炎になりやすくなってしまいます。 特に、コントローラーのスティックを操作するときは片手の親指だけ使いがちになってしまうので、その指だけに負担がかかり、腱鞘炎が起こりやすい傾向にあります。

グリップやボール等を握るスポーツをする

グリップやボール等を握るスポーツをする テニスや野球などのスポーツは、腱鞘炎になりやすいとされています。理由としては、グリップやボールを握る動作は指や手首に負担が掛かりやすく、それに『打つ』、『投げる』といった動作で強い衝撃が加わり、さらに負担を大きくしてしまうからです。 腱鞘炎にならないためには、過度な練習は避けて休養をしっかりとること、正しいフォームで練習することなどが大事です。

 

腱鞘炎になる主な原因

 

・長時間のスマホ操作

・長時間のパソコン作業

・長時間のゲームプレイ ・グリップやボール等を握るスポーツをする

上記の他にも、文字をたくさん書いたりする人や、ピアノ等で指を使う楽器を演奏する人も腱鞘炎になりやすいとされています。

結論として、手や指をたくさん使うと腱鞘炎になりやすいということですね。 また、「更年期以降の女性」や「妊娠・出産期の女性」で腱鞘炎に悩む人も多いようです。理由としては、女性ホルモンのバランスの変化が影響すると考えられています。

これらの原因を見て、当てはまるものがあった方は、「自分が腱鞘炎かどうかチェックしたい」と思われたかもしれません。 実は、今すぐ腱鞘炎のチェックができる方法があります。 チェック方法については次に解説していきます。

 

今すぐできる!腱鞘炎のチェック方法

 

腱鞘炎には、手首に症状が現れる「ドケルバン病」と、指に症状が現れる「ばね指」の2種類あると前述で説明しましたが、それぞれ種類によってチェック方法が異なります。

 

ドケルバン病のチェック方法

フィンケルシュタインテスト 1.手を前にだし、親指を内側に倒す。 2.反対の手で親指を掴み、小指の方へ引っ張る。

フィンケルシュタインテスト変法 1.親指を内側に入れて、握りこぶしを作る。 2.その形のまま、小指側に倒す。 小指側に倒したとき、痛みを感じることがあればドケルバン病の可能性があります。

ばね指のチェック方法

1.指の付け根を軽く押す。

2.押した状態で指を曲げたり伸ばしたりを繰り返す。

○ばね指のチェック方法

曲げ伸ばしを行った際、指の動きが硬くてぎこちなかったり、少し痛みを感じたときは、ばね指の可能性があります。 また、曲げた指を伸ばす際に、指がはじけるように急に伸びた場合もばね指の疑いがあるので注意が必要です。

いかがでしょうか? もし腱鞘炎になっている可能性がある場合は、早急に改善する必要があります。なぜなら、腱鞘炎になったまま放置すると、症状が悪化して、ほんの少し指を動かすだけでも激痛を感じたり、思うように手を動かせなくなったりして日常生活に大きな支障をきたすからです。

 

腱鞘炎を改善! 主な4つの治し方

 

前述した通り、腱鞘炎になっていた場合は放置せず、なるべく早く治療しなければいけません。 しかし、『治したいけど、どうすればいいか分からない』、『どんな治療法があるのかわからない』と疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。

結論からいうと、腱鞘炎の重症度によって効果的な治し方が異なってきます。 今から腱鞘炎の4つの治し方を解説しますので、さっそく確認してみましょう。

治し方①

テーピング治療   

テープで手を固定し、指や手首をなるべく動かさないようにして腱鞘炎の炎症を抑える方法です。 テープの他に、手や指を固定するものとして腱鞘炎用のサポーターが販売されています。「テープを巻くのが面倒くさい」といった方は、テープの代わりにサポーターを使ってみてもいいかもしれません。

治し方②

外用鎮痛消炎薬を使用   

次に、外用鎮痛消炎薬を使って炎症を抑える方法です。 薬局の店頭で腱鞘炎の症状を伝え、痛む部位や症状に合わせた外用鎮痛消炎薬を選んでください。 また、外用鎮痛消炎薬にはクリーム剤やローション剤、ゲル剤といった塗り薬のほか、湿布剤やテープ剤といった貼り薬があります。

治し方③

注射をする

炎症を起こしている腱鞘に、直接「ステロイド薬」を注射する方法です。腱鞘炎の痛みが強い場合は、テーピング治療や外用鎮痛消炎薬を使用するよりも注射の方が効果的です。 注射してから2~3週間以内に症状が改善されることが多く、効果は3ヶ月~半年間続くとされています。 しかし、糖尿病の人や薬剤アレルギーのある人には使用できないので注意が必要です。

治し方④

手術をする

テーピング治療や外用鎮痛消炎薬、注射でも治らず、日常生活に支障をきたすほどの重症であれば手術が必要となります。 腱鞘炎の手術は通常、局所麻酔で行うため入院の必要はありません。局所麻酔を行い、腫れて厚くなった腱鞘を切って腱を開放させます。手術は10~20分ほどで終わります。

 

 

これまで、主な腱鞘炎の治し方を解説しましたが、必ず注意してほしいのが『誤った方法で行わないこと』です。 誤った方法で治療を続けていると、返って腱鞘炎を悪化させてしまうことがあります。 そうならないよう、まずは医者や接骨院で相談した上、正しい治療を行いましょう。

 

 

腱鞘炎を予防するには?

 

これまで腱鞘炎の治し方を解説してきましたが、症状が改善したところで再発してしまっては意味がありません。再発を防ぐためには、しっかりと予防することが大切です。 今から腱鞘炎の予防法をご紹介しますので、日々意識してみてください。

予防法①安静にさせる

腱鞘炎になってしまう主な原因は、「指や手の使いすぎ」です。そのため、手や指を安静にさせることで腱鞘炎を事前に防ぐことができます。 もし、『日頃からよく手を使うから難しい』といった場合は、1~2時間に一度、手を休ませてください。安静にできなくても、こうしてこまめに休憩を取ることが腱鞘炎の予防に繋がってきます。

予防法②ストレッチを行う

予防法①で1~2時間に一度休憩をとるようお伝えしましたが、その際に軽くストレッチを行うとより効果的です。 今から部位ごとのストレッチ方法をご紹介します。

○指のストレッチ 1.指を手の甲の方向へ、1本ずつ反らしていく。(この時、指を反らしすぎないよう注意する) 2.それを2~3セット行う。(ゆっくり行うことがポイント) 指のストレッチ

○手首のストレッチ 1.机の上に手を置いて、手首から指先までを机から離す。(手を立てるイメージで) 2.人差し指から小指までを、もう片方の手で掴んで10秒ほど反らす。 3.反対の手も同様に行う。 手首のストレッチ どこでも簡単に行えるストレッチなので、『少し手が疲れたかな』と思ったときはぜひ試してみてください。

予防法③手や指を冷やす

指や手首に軽い痛みを感じたり違和感をおぼえたら、すぐにその部分を冷やすようにしましょう。

冷湿布などで冷やすことにより、腱の炎症を抑えることができます。 もし保冷剤などで冷やす際は、凍傷にならないようタオル等に包んで行うようにしてくださいね。

予防法④ツボ押し

手や指に痛みを感じ始めた時は、痛みを和らげるのに効くとされるツボを押してみましょう。

○大陵(だいりょう) 大陵(だいりょう) 大陵は、手のひら側で手首のしわの中央(二本の太い腱の真ん中)にあります。ここを親指の腹で軽い圧で押します。この時、息を吐きながら1・2・3と押していき、4で止め、今度は息を吸いながら5・6・7と圧を抜いていきます。

○陽谿(ようけい) 陽谿(ようけい) 陽谿は、手の甲を上にして指を軽く開いたときに手首側の親指にできるくぼみ部分(手首にできる横じわと交わるところ)にあります。手首の力を抜き、反対側の親指で5秒ほど軽く押し、ゆっくりと力を抜きます。これを数回繰り返します。 これらのツボ押しを行うことで手や指の痛みが和らぎ、腱鞘炎の予防に繋がります。

 

 

腱鞘炎の主な予防法

 

・安静にさせる ・ストレッチを行う ・手や指を冷やす ・ツボ押し 4つの予防法をご紹介しましたが、これらの予防法を行っても手や指の痛みが続いたり、少しでもおかしいと思ったら、すぐに整形外科や接骨院を受診しましょう。 まだ腱鞘炎になっていない方も、手や指を使い続けている以上はいつ炎症が起きるか分からないため、事前にしっかりと予防することをおすすめします。

 

 

最後に、この記事で紹介した腱鞘炎の治し方をまとめておきます。

 

・テーピングで手首や指を固定する。

・外用鎮痛消炎薬を使って痛みを和らげる。

・炎症している腱鞘にステロイド剤の注射をする。

・症状が重症の場合は手術をする。

腱鞘炎にならないためには、手や指をこまめに休めることが大切です。 また、放置は絶対にしてはいけません。腱鞘炎が悪化し、激痛で手や指が使えなくなって日常生活に支障をきたしてしまう場合や、そもそも腱鞘炎ではなく「変形性指関節症」の可能性もあります。 症状が軽いうちはテーピングや安静にすることで炎症を抑えることができますが、重症になると注射や手術が必要になってきて、自力で腱鞘炎を治すことは難しくなります。 少しでもおかしいと思ったら、すぐに整形外科や接骨院を受診して相談しましょう。