2021/11/21
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膝の後ろにできものができた
膝の後ろにできものができた、膝の後ろが膨らんできた、膝の後ろに圧迫感がある、膝の裏に違和感がある。
そんな風に訴えてくる患者さんがいます。
膝の後ろには、筋肉と筋肉の摩擦を防ぐための「滑液包」という袋が在しています。
この「滑液包」は、体中に点在してるもので、この袋に炎症が起きると「滑液包炎」と言います。
一般的に滑液包炎として多いのが、肩関節周辺や足の外くるぶしです。
膝裏の滑液包は何個もある
筋肉が骨とくっつく手前くらいに、滑液包の多くは存在するので、どれが「ベーカー嚢腫」なのかを見分ける必要があります。
一つだけ、膝の関節の関節腔(空洞)と繋がっている袋があるのです。
もっと詳しく言いますと、膝裏にある筋肉の「半膜様筋」と「腓腹筋内側頭」の間から、はみ出る腫瘤状の滑液包炎のことをベーカー嚢腫というのです。
ベーカー嚢腫ができる理由
・解剖学上、膝の作りの上で、膝の中から関節液がベーカー嚢腫側には流れやすいが、反対に、ベーカー嚢腫側から膝の関節腔には流れづらい構造になっている。
・変形性関節症になっていて、膝関節内に炎症があるとできやすい。
・膝が変形し始める50代以上の女性に多い
などがあげられます。
子供でもなる場合がある
4歳~7歳くらいの子供で、ベーカー嚢腫になる場合があります。
それは、子供の膝は柔らかく、「反張膝」といいまして、膝が伸びすぎる状態になる時期があります。膝を過度に伸ばしすぎることによって引き起こされます。
しかし、多くは膝の関節腔と繋がりがない、単なる滑液包炎の場合も多いようです。
過度の屈伸や運動を控えることで、自然治癒する場合がほとんどです。
成人のベーカー嚢腫の多くは経過観察
痛みを伴う場合が少なく、違和感程度の事が多いので、経過観察がほとんどです。
痛みが強く、周りの神経や血管を圧迫するようでしたら、注射で穿刺して、液を抜く場合もあります。それでもよくならない場合は、滑液包の袋自体を手術で切除してしまうことになります。
膝の裏が腫れる他の疾患
膝の裏が腫れたようになるのは、ベーカー嚢腫だけとは限りません。
その他の病名もご紹介します。
・神経鞘腫
・半月板嚢胞
・膝窩動脈瘤
・ガングリオン(脂肪腫)
これらの可能性もありますので、まずはお近くの整形外科に受診してください。
金の指銀の指では何をするの?
第一条件としては、膝の炎症を引かすことです。
変形性膝関節症を伴う場合が多く、膝のズレを矯正することで、これ以上の関節軟骨の摩耗を防ぐことにより、炎症が引いてくるのです。
また、ふくらはぎやもも裏の筋肉を上手に使えていない人は、炎症が引きづらいので、正しい歩き方を指導することで、筋肉を正常に動かすことにより、滑液包という袋の中の液体も減少していきます。