2020/05/01
目次
自律神経失調症ってなに?
自律神経失調症とはここから始まります
・過剰なストレス
・不規則な生活
・環境の変化
そのままの状態が続くと次ような現象が登場してきます。
主な症状は、
疲れやすい・めまい・ふらつき・のぼせ・冷え・頭痛・耳鳴り・動悸・関節の痛み・便秘・下痢・生理不順・口や喉の不快感・頻尿・残尿感・発汗・肩凝り
これらの症状が3〜4こ同時にある方もいれば、個人差はあるが一つだけ顕著にという場合もあります。
精神症状としては、
イライラ・不安・不眠・記憶力や集中力の低下・感情の起伏が激しくなる
などです。
脳と神経
なぜ自律神経失調症になるとこんな症状になるのかを、体の中の自律神経の働きや成り立ちから理解しましょう。
参考 新訂 目で見る体のメカニズム より
脳は、神経を通して身体のあらゆる部分と繋がっており、身体の情報収集や指令を行っています。 神経には全身に網の目のように張り巡らされている「末梢神経」と、そこから集められた情報を集積して処理する「中枢神経」とがあります。
「中枢神経」は脳(大脳、小脳、中脳、間脳、橋、延髄)と脊髄からなります。 大脳から脊髄までの、思考をはじめとした高次の機能をつかさどります。 末梢神経は身体の様々な働きに関わっており、大きく分けて「体性神経」と「自律神経」の2つに分けられます。
「体性神経」には、知覚神経と運動神経の2つがあり、私たちの考えによって働く神経です。
「知覚神経」とは、 視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚などの感覚器がえた情報を中枢神経に伝えます。「運動神経」は、中枢神経から出された刺激を筋肉に伝え、筋肉を収縮させることにより身体を動かします。
例えばケーキを見て、視覚神経により美味しそうという情報が脳に伝わり、脳が食べるという意思決定を行います。 脳は運動神経を伝って筋肉に指示を出すことにより、ケーキを手で持って食べるのです。
「自律神経」には、交感神経と副交感神経の2つがあり、シーソーの様にバランスを取りながら働いています。
交感神経、、
脊髄から出ており、興奮や緊張時に優位になります。
副交感神経、、
脊髄と脳幹から出ており、睡眠時やリラックスしている時に優位になります。
器官\神経 | 交感神経の作用 | 副交感神経の作用 |
瞳孔 | 散大(散瞳) | 収縮(縮瞳) |
唾液腺 |
少量の濃い液分泌 |
大量の薄い液分泌 |
末梢血管 |
収縮 |
拡張 |
気道 | 拡張 | 収縮 |
血圧 | 上昇 | 下降 |
心拍 | 促進 | 緩徐 |
肝臓 | グリコーゲンの分解(血糖上昇) | グリコーゲンの合成(血糖低下) |
消化液分泌 (胃・腸・膵液) |
減少 | 増加 |
消化管運動 |
抑制 | 促進 |
この交感神経と副交感神経は、循環器や消化器、呼吸器などの活動を調整するため、自分の意思とは無関係に24時間働き続けており、自動的に反応する神経のため、呼吸・血液循環・体温調節・消化・排泄・生殖・免疫などの機能を無意識に調整しており、生命維持には欠かせません。これを生体恒常性(ホメオスタシス)といい、この調整が働かなくなると、生体内部の環境が乱れ、不調を来し、いずれは死に至ります。眠っている間も滞りなく身体が機能しているのは、自律神経のお蔭なのです。
自律神経系は「知覚神経」と連携して臓器を調整しています。 身体の様々な所に臓器の状態を観測する受容体と呼ばれるセンサーがあり、このセンサーが感知した情報は、感覚神経を伝って自律神経の中枢に行き、自律神経がそれに反応することで自動的に臓器を制御します。
例えば、興奮や緊張時には交感神経が働き、心臓に働きかけることで心拍数が上がり、ドキドキします。 また涙の分泌は副交感神経によって促進され、交感神経によって抑制されています。 悲しくなくても緊張がとけると涙が溢れ出ることがありますが、これは副交感神経が優位になったためです。
また多系統萎縮症の一種であるシャイ・ドレ-ガ-症候群、パーキンソン病、レビー小体型認知症など身体疾患に伴う自律神経症状や、うつ病や不安症などの症状の一部として出現する自律神経症状もあるため、鑑別診断が重要になる。
参考 Doctors File より
ストレスと自律神経失調症
交感神経と副交感神経は間脳の視床下部でコントロールされています。 その視床下部は感情を司る大脳辺緑系と相互連絡していることから、こころの問題が自律神経の働きに関わってくるので、過剰なストレスが大きな原因になります。
また、自律神経失調症は男性よりも女性に多く見られる大きな理由として、女性ホルモンのバランス変動が挙げられています。 上記でも書いた様に、交感神経と副交感神経は間脳の視床下部でコントロールされていますが、この視床下部のすぐ近くにある脳下垂体では、様々なホルモンを分泌しています。 そのため、視床下部がホルモンの影響を受けて、自律神経の働きにも影響を及ぼし自律神経失調症の症状が出現してきます。
参考 新訂 目で見るからだのメカニズム
自律神経失調症を改善するには?
1,深い呼吸が重要になります。
腹式呼吸で、おなかの中を風船のように吸う息を少しずつおなかに入れ入りきれない状態から少しずつ息を吐いていきます。そうすると肩の力が少しずつ抜けていきます。力が抜けていくこと、すなわち副交感神経が優位になっていくことになり血液やホルモンの循環がよくなり、緊張からの解放、精神の安定、心身の休息と回復の効果が期待できます。
2,規則正しい生活
朝起きて太陽の光を浴びて体をリセットし、夜はできれば、12時前までに寝る習慣をつける。
3、適度な運動(有酸素運動)
運動に集中することで、日常のストレスを短時間でも忘れることができます。また、運動をすることによる達成感も出て一石二鳥になります。
4、リラックスする
1日に5分でもいいので日常のことを忘れられる自分だけの時間をつくったり、自分をケアする時間を作ったりしましょう。
5、病院で検査する
精神疾患や身体疾患による自律神経失調症ではないことを確認するとともに、なぜ体の不調が出るのか?を明らかにすることでストレスが減る。
まとめ
・自律神経失調症は、体の不調の総称である
・身体・精神疾患の起因によるものもある
・女性の場合、ホルモンの影響もある
・交感神経と副交感神経のバランスが必要である
・過剰なストレス、不規則な生活、環境の変化による自律神経失調症は改善策がある